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 TOP相続・贈与TOP 広大地適用のための更生の請求(成功事例の紹介)

                  広大地減額規定の適用について(更正の理由)

被相続人 A氏に係る遺産分割協議の結果として、全遺産のうち、横浜市X区Y町123番の所在地にある共同住宅(アパート)に関しては、土地および建物のいずれについても、長男(以下「甲」という)および二男(以下「乙」という)が各2分の1の共有割合をもって相続することが決定しました。
 この結果、申告期限(平成22年4月30日)内の平成22年4月20日付けをもって、相続税申告書をH税務署に提出するとともに、各相続人は、それぞれの負担すべき相続税の納付を完了しております。
 当該遺産分割協議に基づき甲および乙が相続することとなったX区Y町123番の土地(以下「本件土地」という)は、土地家屋調査士による確定測量(隣地所有者立会)の結果、地積が536uであることが判明しました(別紙1の「実測図」のとおり。なお、登記上の地積はこの時点では456uでした)。提出済の申告書においては、この地積536uを基に、不整形地による減額適用、奥行長大による減額適用等を行っています。
 しかしながら、本件土地は、3大都市圏に適用される500uを超えるものであり、財産評価通達規定24-4(以下「広大地評価通達」という)、平成16年6月29日付国税庁課税部資産評価企画官による情報第2号「16年情報」、及び平成17年6月17日国税庁課税部資産評価企画官による情報第1号「17年情報」(広大地の判定に当たり留意すべき事項)に明記されている広大地適用のための判定事項について、調査を行い仔細に検討したところ、広大地の適用除外対象となるいずれの要件にも該当しないことを確認いたしました。
 よって、先に提出済みの本件土地の財産評価について、広大地の減額規定の適用対象となるものと判断し、更正の手続きを執るものであります。
 この判断の根拠は下記のとおりでありますので、何卒宜しくお願い致します。

                            

1.広大地の判定にあたっての前提
(1) 財産評価基本通達24−4における定義
 当該財産評価基本通達24−4においては、広大地は、「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」(ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものを除く。)と定義されている。
(2) 平成16年6月29日付資産評価企画官情報第2号による財産評価基本通達の一部改正
 当該企画官情報は、「16年情報」といわれるものであり、広大地の価額は、正面路線価に「広大地補正率」と広大地の地積を連乗して評価するという方法が提示されたものである。
 当該16年情報においては、広大地の範囲に関して、広大地に該当するもの及び広大地に該当しないものの各々につき、次に掲げる条件を例示している。
@ 広大地に該当する条件の例示
 普通住宅地区等に所在する土地で、各自治体が定める開発許可を要する面積基準以上のもの。
 ただし、三大都市圏については、500u以上の土地が広大地に該当することとされている。
 また、三大都市圏については、500uに満たない場合であっても、広大地に該当する場合があることに留意する、と規定している。

A 広大地に該当しない条件の例示
@.既に開発を了しているマンション・ビル等の敷地用地
A.現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地(例えば、大規模店舗、ファミリーレストラン等)
B.原則として容積率300%以上の地域に所在する土地
C.公共公益的施設用地の負担がほとんど生じないと認められる土地
  (例)道路に面しており、間口が広く、奥行がそれほどではない土地


(3) 平成17年6月17日付資産評価企画官情報第1号による財産評価基本通達の一部改正
 
当該企画官情報は、「17年情報」といわれるものであり、財産評価基本通達24-4に定める「広大地の評価」を適用する場合の広大地に該当するかどうかの判定に当たり留意すべき事項を定めたものである。以下、上記(1)〜(2)及び本項に述べたことを踏まえて、本件土地が広大地に該当するものであることを説明する。

2.広大地の減額規定の適用にあたり斟酌すべき各事項について

(1) マンション適地であるか否か。
 
広大地評価通達24-4の規定においては、マンション適地を「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの(その宅地について、経済的に最も合理的であると認められる開発行為が中高層の集合住宅等を建築することを目的とするものであると認められるものをいう。)」と具体的に定義している。ここでいう「中高層の集合住宅等」は、建築に関する都道府県の条例等において「地階を除く階数が3以上で、かつ、住個数が一定の共同住宅」と定義されるものに相当するものと解される。
 この24-4によるマンション適地の定義に基づき、近隣地域の状況を踏まえて、本件土地については、以下のとおり判定する。

【近隣地域の状況】
 
不動産鑑定において、近隣地域とは「評価対象地を中心として町名界を中心に東西南北200m範囲の地域」とされている。本件土地を都市計画図(別紙2)に照らし合わせると、近隣地域の状況は、「第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率100%)」に該当し、概ね小規模(100u〜120u)の戸建住宅が中心をなしており、低層(2階建)の共同住宅がわずかに2〜3棟散在している程度である。「第一種低層住居専用地域」のため、3階建て以上のマンションは横浜市の開発許可の条件を満たさず、近隣地域内にマンションは存在しない。
 また、本件土地の近隣地域は、市街化区域、宅地造成工事規制区域、緑化地域、第1種高度地区、準防火地域に該当し、「敷地面積最低限度」は100平方メートルである。本件土地の近隣地域には、建築基準法第42条第1項第1号乃至第4号のいずれかに判断される道路は皆無に等しく、存在するのは、同法第42条第1項第5号に該当する道路、同法第42条第2項の指定を受けた道路又は同法第43条第1項但書の許可を要する道路状空地に限られる。本件土地の接面する道路については、建築基準法第42条第2項の指定を受けた道路であるとともに、狭あい道路の「整備促進路線」(「横浜市狭あい道路の整備の促進に関する条例」に基づき、狭あい道路(幅員4m未満の道で、一般交通の用に供されているもの)のうち、特に整備の促進を図る必要があると認めるものとして市長が指定したもの)となっている。

 なお、当該地域は丘陵地のため、徒歩30分程度を要する横浜駅を最寄り駅として利用している近隣の住民も少なくない。本件土地は、幅員4m未満(3.8 m)の一方通行の公道に面していることに加えて(別紙6参照)、最寄り駅の××線○○駅からは、直線距離にして1000m、徒歩約20分を要する屈曲した急勾配の坂道の上に立地しており、宅地開発事業者にとって、マンション建設が「経済的で最も合理的であると認められる開発行為」に該当しない可能性の極めて高い地域に所在している。
 以上のことから、マンション適地に相当しないことは明白といえる。

(2) 近隣地域の標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大であるか否か。

 本件土地の地積は、実測の結果、添付の実測図(別紙1)に示すとおり、524u(158.8坪)であり、3大都市圏における広大地の前提条件である地積500u以上の範囲に属している。
 近隣地域における標準的な戸建住宅の宅地面積は、実地検分、公図(別紙3)、住宅地図(別紙4)等から判断する限り、概ね100u〜120uの範囲内に属しており、本件土地、本件土地と同様に相続財産となっている鎌谷町349番5、6等の一部の土地を除けば、150u程度の戸建住宅が散見される程度に過ぎない住環境にある。
 したがって、明らかに地積524u(158.8坪)という面大地に相当する本件土地は、宅地開発を企図する開発事業者が需要者とならざるを得ないと考えるのが至当であり、近隣地域の標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大であるといえる。
 なお、開発事業者がこのような面大地に対して策定する開発計画は、「敷地分割を前提とする更地分譲または戸建分譲」となる蓋然性が高い。この場合は、分割された各敷地を道路に接面させるべく、開発道路(私道)その他の公共公益的施設用地の造成・提供を要することとなる場合があり、本件土地がこれに該当する(開発事業者による開発予想図は別紙5(注2)のとおり)。その理由は後記(5)にて説明する。

(注2) 当該開発予想図は、横浜市の開発許可の条件を踏まえて、△△不動産情報センターが設計を行ったものである。

(3) 容積率について
 横浜市保土ヶ谷区鎌谷町349番近辺における全体の指定容積率は、最大が100%(建ぺい率は60%)である(別紙2の保土ヶ谷区都市計画図による)。
 ただし、本件土地が接面する公道は、幅員3.8m(この場合、幅員を4mとして計算される)であることから、基準容積率は、最大でも160%以下である。
 したがって、土地の評価に当たって適用される実効容積率は、指定容積率100%と道路の幅員から算出した基準容積率160%のうち、少ない方に相当する容積率100%が実効容積率となる。

(4) 16年情報にいう「現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地」に該当するか否か

 17年情報によると、16年情報にいう「現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地」(東京国税局課税一部の資産評価企画官による平成20年版「相続税贈与税・土地評価の実務」にて「有効」を「最有効」に変えていることもあり、ここでは「現に宅地として最有効利用されている建築物等の敷地」の意味に解する。)の判断基準として、「それらの敷地がその地域の土地の標準的使用といえるかどうかで判定する」と記されている。
 これを本件土地についてみると、既述のとおり、その近隣地域は、都市計画法上の「第一種低層住居専用地域」に指定されており、概ね100u〜120u内に属する戸建住宅地である。建ぺい率は30%〜60%、容積率は60%〜100%となっている。マンション適地の容積率が300%であることから、中高層の集合住宅等のマンション適地に該当しないことは明らかであり、100u〜120uの戸建住宅の宅地としての利用が当該地域の標準的使用に合致した有効利用といえる。数棟の共同住宅も存在するものの、最寄り駅(相鉄線星川駅又は横浜駅)までの距離及び急勾配の坂道という立地条件から、共同住宅に対する需要は相対的に高いものではなく、大方の共同住宅においては、空き部屋が目立つ利用状況にある。
 実態としては、土地の所有者が節税、収益確保等の目的で利用しているに過ぎず、本件土地についても、共同住宅地としての利用が当該地域における最有効利用であると判断して共同住宅地としたわけではない。実態からすると、100u〜120uの小規模戸建住宅用地としての開発がこの地域における経済的合理性のある最有効利用といえる。
 したがって、本件土地は、「最有効利用」されているともいえず、また、「近隣地域の土地の標準的使用」であるともいえないので、16年情報にいう「現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地」には当たらない。
 
(5) 公共公益的施設用地(潰れ地)の発生について

 広大地評価通達における広大地の定義によれば、「都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合」に、公共公益的施設用地(潰れ地)の負担が必要と認められることが要件となっている。17年情報にいうような単なる「戸建住宅の分譲を行った場合」ではなく、あえて「都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合」における潰れ地の負担の必要性の有無を問題としていることからすると、都市計画法の基本理念(同法第2条)や開発基準(同法第33条)を前提に、公共公益的施設用地(潰れ地)の負担の必要性の有無を判断すべきものと思料される。この論点をも含めて、都市計画法に規定する開発行為を行うとした場合の公共公益的施設用地(潰れ地)の負担の必要性の有無を以下に論ずる。
 本件土地に限らず、一般的に戸建分譲宅地として開発行為を行う場合、路地状敷地開発は、災害時の避難や救出の面から好ましいものではない。開発道路を設置すれば、行き止まり状とはいえ、各敷地は、しっかりした私道等に直接接面することから、安全性はある程度担保されるが、路地状敷地開発の場合は、路地部分を駐車スペースなどに使用されると、災害時における避難や救出の経路確保の観点で支障があるといえる。
 このような問題を十分に考慮せずに都市計画法に規定する開発行為を行おうとしても、都市計画法の理念や開発基準とは相容れない部分があれば、開発許可申請をしても行政当局にこれを否定され、一定の幅員等を確保した開発道路の造成を指導されることにもなり得る。
 本件土地のような500u以上の広大な土地を開発事業者が造成して、100u〜120u程度の広さの土地に分割して、戸建住宅の宅地として分譲する場合を例として考えるとき、路地状敷地に分割すると、路地部分に要する面積が広くなり過ぎ、災害時の避難、救出等の面で最適な分割とはいえないので、開発許可を得る必要があると仮定した場合には特に、この路地状敷地開発を回避すべきである。これに対して、別紙5に示すような公道に接面した「位置指定道路(私道)」の開設を伴う分割の場合は、路地状に比して、全体の形状はずっとすっきりとしたものとなり、災害時の避難、救出等の面での問題が大きく解消される。
 上述の判断は、都市計画法の基本理念である『都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきこと』(都市計画法第4条)や同法33条に定める開発基準を念頭に置いてなしたものである。この理念及び基準を本件土地の広大地判定にあたって加味する根拠は、広大地評価通達24-4の規定ぶりにある。広大地評価通達24-4では、単なる「開発行為」ではなくて、あえて区画形質の変更を前提とする「都市計画法に規定する開発行為」と規定しているのであって、これは、上記の理念や基準に基づき営利企業である開発事業者が最大利益を追求して「実際に」都市計画法に規定する開発行為をしようとした場合の適正な判断が何であるのかを想定すべきだという趣旨であることの証左といえる。
 次に、経済的合理性の観点から本件土地の路地状敷地開発が妥当でない理由を詳細に述べたい。まず、横浜市の建築基準条例による規制を考慮する必要があるが、同条例の第4条においては、建築物の敷地が路地状部分のみによって道路に接する場合のその敷地の路地状部分の幅員について、路地状部分の長さに応じた下限を定めている。
 本件土地の場合、もし路地状敷地開発をするとなると、その路地状部分の長さが「15mを超え25m以下のもの」となるように開発するのが該当と思われるが、その場合には3m以上の幅員が必要となる。仮に、一層の路地状開発地が道路に面して二つ横に並ぶような形で開発をした場合には、本件土地全体の(道路に面しての)横幅約17.5mのうち6m以上を路地のために割愛され、公道に接面する二つの画地については横幅がわずかに6m程度しか確保できないこととなるため、評価の低い形状となってしまう。また、公道から遠い方の二つの画地も、敷地全体の4分の1程度が建物敷地に使えない路地部分に取られてしまうことに加え、不整形な画地を生み出すことにもなり、土地の有効利用という面ではとても合理的とは言い難い。容積率、建ぺい率の計算上路地状敷地開発が有利であるとの主張もなされ得るであろうが、面積が大きくなれば容積率、建ぺい率の計算上有利になるのは自明である。問題は、その経済的合理性への相対的な貢献度となろうが、路地状敷地開発をしたことによる土地の価値の評価減を補うほどの貢献度はないというべきである。
 そもそも路地状敷地といえども面大減価が発生することは議論の余地のないところであり、元来、広大地の減額規定適用による評価減が、面大地に対して減価(面大減価)を行うための手段として、公共公益的施設用地(潰れ地)の要件を規定したことの趣旨を考慮すれば、「合理性をもって路地状敷地として開発ができるから面大減価は生じていない」という主張は必ずしも正しいとはいえない。本件土地も、確かに物理的には路地状開発が可能であり、その合理性が全くないとまでは言えないとしても、その場合でも明らかに面大減価は生じている。
 17年情報にいうように、「経済的に最も合理的に」開発することが要件となるのであれば、ある程度の有効利用ではなく「最大限の有効利用が何であるのか」が問題となるはずであるから、もし本件土地の路地状敷地開発に一定程度の合理性があるというだけで広大地減額規定の適用を否定するというのであれば、それは広大地評価通達24-4の趣旨を没却するものであって、また、16年情報及び17年情報の趣旨とも違背することとなる。
 以上の論点に基づけば、本件土地を都市計画法の理念や基準による制約の下で最も合理的に開発するとした場合には、公共公益的施設用地(潰れ地)の負担が必要であるというほかない。公道に接面する間口に比して奥行きが長大であることや(4)で述べたような事情も併せて考えれば、買い手となるであろう開発事業者による本件土地の開発予想図は、(2)で述べたとおりの区画割を前提としたものであって、かつ、公共公益的施設用地(潰れ地)としての「私道」の設置を伴うものになると思われる。開発事業者も営利企業であるからには、土地の価値を最大限に高める開発方法を追求するのは当然であり、本件土地について路地状敷地開発を想定する現実性は薄い。

(6) 実際に開発しようとした場合の開発許可の必要性の有無について
 本件土地は平面で、524uであるが、別紙6の現場写真が示すように公道部分から見て、左側の隣地境界部分や敷地の奥部分など、敷地全体の10%弱程度に相当する範囲が、がけ地の状態にあるため、新規の開発分譲に当たっては敷地全体を平坦地にするための1m以上の盛土が不可欠となる。この場合、「形質の変更を伴う切土、盛土などを行う行為」に対しては、横浜市当局の開発許可を必要とする対象地となる。したがって、本件土地の開発は、実際開発を行うとなれば、「都市計画法に規定する開発行為」に相当する。ただし、(5)で述べたように、財産評価基本通達24−4の規定内容からして、実際に開発許可が必要となるか否かは問題とならない。なぜなら財産評価基本通達24−4においては、「都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に」という「仮定」に基づく公共公益的施設用地の負担の必要性を要件としているからである。

(7) 広大地の減額規定の適用が実際に認められた土地の例示
 別紙7-1及び別紙7-2は、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地としての潰れ地の負担が必要であるとして、広大地の減額規定の適用が実際に認められた土地の例である。その地積及び形状を見る限り、いずれも路地状敷地開発が物理的には可能と思われるが、それが最も経済的合理性がある開発の仕方であるとはみなされなかったことになる。固より、地積と形状だけで判断し得るものではないが、本件土地が広大地に該当する旨の主張を補強するものとして参考にされたい。

(8) 近隣地域における戸建住宅地としての小規模開発の現状
 本件土地の右隣り(公道に向かって)には、小規模開発の戸建分譲住宅が存在する。別紙6の現場写真が示すとおり、全体が866.14uの土地(鎌谷町347番18)が、位置指定道路(私道)開設を伴う戸建住宅分譲用地としての開発により、7筆に分筆されている比較的最近の実例が見られる。このことは、営利企業たる当該の開発事業者がこの地域の種々の事情、土地固有の状況等を総合的に検討したうえで経済的合理性を追求した一つの結果であり、隣地である本件土地を開発するにあたっては、最も重視すべき事例であることは間違いない。本件土地の開発が、「都市計画法に規定する開発行為」という仮定に基づくものでなくとも、位置指定道路開設を伴うべきものであることを少なくとも間接的には裏付ける事実ではある。

3.結論
 以上のことから、本件土地について開発事業者が「都市計画法に規定する開発行為」を行うとした場合、路地状敷地開発は妥当な選択とはいえず、公共公益的施設用地(潰れ地)としての私道の設置が必要不可欠であるとの結論が導かれるべきであり(例:別紙5の開発予想図が示す100uの敷地を有する4つの戸建分譲地としての小規模開発)、結果として、財産評価基本通達24−4の規定により、本件土地は広大地として評価すべきこととなる。
 援用すべき裁決例としては、平成16年6月28日裁決関裁(諸)平15第77における路地状敷地開発の経済的不合理性の指摘や、同年9月28日裁決関裁(諸)平16第10号における、「明らかに公共公益的施設用地としての潰れ地が生じないと認められる土地以外は広大地の適用があるべき」との判示を挙げたい。後者については、どのような場合に路地状敷地開発が最有効利用として合理的とされるのかが曖昧で判然としない現状を的確に認識したうえでの極めて妥当な判断であり、本件土地に係る判断に際しても大いに参考すべきものと思料するところである。諸説入り乱れている現状及び広大地判定による減額幅が大きいという事実を鑑みれば、広大地判定にはこの上ない慎重さが求められるところである。H税務署の資産税担当者様には、租税法律主義に準拠して、何卒、賢明なるご判断のもとに、広大地の減額規定の適用についての更正の請求に対し、ご理解をお願い申し上げる次第です。

                                  
1.添付資料
(1)別紙1:実測図(確定測量)
(2)別紙2:都市計画図(○○市X区)
(3)別紙3:公図
(4)別紙4:住宅地図
(5)別紙5:開発予想図(○○不動産情報センター)
(6)別紙6:現場写真
(7)別紙7:広大地の減額規定の適用が実際に認められた土地の例
(8)別紙8:当初提出した相続税申告書
(9)別紙9:更生の請求を行う場合の相続税申告書
 (10) 別紙10:遺産分割協議書(当初提出したものと内容は同じ)
2.参考文献・資料
(1)資料1:都市計画法にいう「開発行為」についての横浜市による解説
(2)文献1:広大地評価の実務(大蔵財務協会)
(3)文献2:広大地の評価 税務のQ&A(中央経済社)
(4)文献3:広大地の税務評価(日税不動産鑑定士会編著)
(5)文献4:不動産鑑定士から見た広大地の評価の留意点(セミナー資料)
                                             以上

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