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平成22年度の税制改正のポイント 

1章 基本的考え方

 税制改革と社会保障制度改革を一体的にとらえ改革を推進。国と地方の役割分担の大幅な見直しとあわせて、それぞれの役割に見合った形へ国・地方間の税財源の配分のあり方を見直す。

 2章 新しい税制改正の仕組み

租税特別措置をゼロベースから見直し、整理合理化を進める。「政策税制措置」は、今後4年間で抜本的に見直す。適用実態を明らかにし、効果を検証できる仕組みとして、来年の通常国会で「租特透明化法(仮称)」の制定を目指す。

 3章 各主要課題の改革の方向性

1 納税環境整備

 国民主権の税制を構築するため、納税者の税制上の権利を明確にする「納税者権利憲章(仮称)」を早急に制定。社会保障制度と税制を一体化し、社会保障・税共通の番号制度の導入を進める。年金の保険料徴収を担っている日本年金機構を廃止し国税庁に統合、歳入庁を設置する方向で検討。

2 個人所得課税

 所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ転換を進める。金融所得の一体課税を進める。配偶者控除は見直しに取り組む。給与所得控除の見直しや、税率構造などの所得税改革にも取り組む。個人住民税の所得割は、地方自治体の事務負担を踏まえつつ、現年課税化も検討する。

3 法人課税

 租税特別措置の抜本的な見直しなどを進め、課税ベースが拡大した際には、法人税率を見直す。厳しい経営環境の中小企業を支援するため、中小法人に対する軽減税率を引き下げることが必要。早急な実施に向けて真摯(しんし)に検討する。

4 国際課税

 地球規模の問題解決のために国際連帯税の検討を早急に進める。

5 資産課税

 格差是正の観点から、相続税の課税ベース、税率構造の見直しについて11年度改正を目指す。
 
6 消費税
 
 消費税のあり方については今後、社会保障制度の抜本改革の検討などとあわせて、使途の明確化、逆進性対策なども含め検討していく。

7 個別間接税

 酒税はアルコール度数に着目した税制とすることを検討。たばこ税は国民の健康の観点から税率を引き上げていく必要がある。現行のたばこ事業法を改廃し、新たな枠組みの構築を目指す。地球温暖化対策のための税について、11年度実施に向けて成案を得るべくさらに検討を進める。

8 略

9 地方税財源

 地方自治体の課税自主権の拡大を図る。国と地方が対等に協議する場の法制化の議論など、地方の声を反映できる仕組みを検討する。

 第4章 10年度税制改正

1 税制改正の考え方

 経済・社会の構造変化に適応し、国民が信頼できる税制を構築する。

2 個人所得課税

 1)諸控除の見直し

 (国税)

 (1)扶養控除の見直し

イ 16歳未満の年少扶養親族にかかる扶養控除を11年に廃止する。

  ロ 16歳以上23歳未満の特定扶養親族のうち、16歳以上19歳未満の扶養控除の上乗せ部分25万円を11年に廃止し、扶養控除額を38万円とする。

 (2)同居特別障害者加算の特例の改組

 扶養親族または控除対象配偶者が同居の特別障害者の場合、扶養控除または配偶者控除の額に35万円を加算する措置について、特別障害者控除の額に35万円を加算する措置に改める。

(地方税)

 (1)扶養控除の見直し

 イ 年少扶養親族にかかる扶養控除を12年に廃止。 
 ロ 特定扶養親族のうち、16歳以上19歳未満の扶養控除の上乗せ部分12万円を12年に廃止する。

 (2)金融証券税制

 (1)12年から実施される上場株式などの税率の20%本則税率化に合わせ、少額上場株式などにかかる配当所得と譲渡所得等の非課税措置を導入する。

イ 非課税口座において管理される上場株式などの配当および譲渡所得などについて、口座開設年の11日から10年内は所得税と個人住民税を課さない。
ロ 非課税口座
(イ)非課税口座とは満20歳以上が非課税の適用を受けるため、金融商品取引業者などの営業所で1214年まで年1口座に限り設定する口座。
(ロ)非課税口座には設定した日からその年の1231日までの間に取得した上場株式などを、取得額の合計が100万円を超えない範囲まで受け入れることができる。
 
(3)生命保険料控除の改組


(国税)

 生命保険料控除を改組し、各保険料控除の合計適用限度額を12万円とする。

 イ 1211日以後に締結した保険契約などにかかる控除 (イ)1211日以後に締結した保険契約(新契約)のうち、介護保障と医療保障の支払い保険料などについて、一般生命保険料控除とは別枠で4万円の所得控除を創設する。
 (ロ)新契約にかかる一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の適用限度額はそれぞれ4万円とする。  ロ 111231日以前に締結した保険契約(旧契約)は従前の一般生命保険料控除と個人年金保険料控除(それぞれ最大5万円)を適用する。
 ハ 新契約と旧契約の双方で保険料控除の適用を受ける場合、一般生命保険料控除または個人年金保険料控除の控除額はそれぞれ上限4万円とする。

(地方税)=略

(3)租税特別措置など

 (国税)

 (廃止・縮減など)=略

 (延長・拡充など)

  (1)居住用財産の買い替えなどをする場合の譲渡損失の繰り越し控除などの適用期限を2年延長する。

 (2)〜(3)=略

 (4)五輪成績優秀者を表彰する各競技統括団体から交付される金品について、一定の金額(第1300万円、第2200万円、第3100万円)を非課税にする。

 (地方税)=略

(4)その他

 (国税)

 (1)〜(2)=略

 (3)企業型確定拠出年金に導入される個人拠出の掛け金の全額を所得控除の対象にする。

 (4)〜(8)子ども手当、高校の実質無償化、父子家庭などに支給される児童扶養手当、求職者支援給付、雇用保険制度の対象者が受ける失業等給付について、所得税を課さず、国税の滞納処分による差し押さえを禁止する。

 (9)〜(11)=略

 (地方税)

 (1)〜(14)=略

 15)国民健康保険税の基礎課税額にかかる課税限度額を50万円(現行47万円)、後期高齢者支援金等課税額にかかる課税限度額を13万円(現行12万円)に引き上げる。

 (16)〜(17)=略

3 法人課税

(1)資本に関係する取引等

(国税)

 法人の組織形態の多様性に対応し、課税の中立性や公平性などを確保する観点から見直す。

(1)グループ内取引等

 イ 100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引等
 (イ)法人間で一定の資産の移転を行ったことにより生じる譲渡損益は、その資産のグループ外への移転等の時に、移転を行った法人において計上する。
 (ロ)=略
 ロ〜ハ=略
 ニ 資本金・出資金が1億円以下の法人にかかる軽減税率などの制度について、資本金・出資金が5億円以上の法人などの完全子会社には適用しない。
 ホ 連結納税制度
(イ)連結納税の開始などに伴う資産の時価評価制度の適用対象外になる連結子会社で、開始前に生じた欠損金額を、個別所得金額を限度として繰越控除の対象に追加。
 ヘ=略

(2)=略

(地方税)=略

(2)特殊同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度は廃止。役員給与にかかる課税のあり方はいわゆる「二重控除」の問題を踏まえ、個人事業主との課税の不均衡を是正し問題を解消するための抜本的措置を11年度税制改正で講じる。

(3)租税特別措置など

(国税)

(廃止・縮減など)

 (1)情報基盤強化税制は適用期限の到来をもって廃止(所得税も同様)。

  (2)エネルギー需給構造改革推進投資促進税制は、対象設備から地方ガス天然ガス化設備などを除外する見直しを行う。

 (3)中小企業等基盤強化税制は、対象から特定旅館業を営む大規模法人を除外する。

 (4)公害防止用設備の特別償却制度は、見直しを行った上で適用期限を一年延長する。

 (5)〜(15)=略

 (延長・拡充など)

 (1)中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長(所得税も同様)。

 (2)中小企業の少額減価償却資産について、取得価額を損金算入する特例の適用期限を2年延長(所得税も同様)。

 (3)中小企業等基盤強化税制を拡充し、資本金1億円以下の法人による仮想化ソフトウエアなどを含む情報基盤強化設備の取得にかかる措置を追加(所得税も同様)。

 (4)試験研究費の増加にかかる税額控除、または平均売上金額の10%を超える試験研究費にかかる税額控除を選択適用できる制度について、適用期限を2年延長する(所得税も同様)。

 (5)〜(12)=略

 13)交際費などの損金不算入制度は適用期限を2年延長するとともに、中小法人にかかる損金算入の特例の適用期限を2年延長。

 (14)〜(15)=略

 (地方税)=略

 (4)その他=略

4 国際課税

 (1)外国子会社合算税制等の見直し

 (1)特定外国子会社等に該当するとされる、著しく低い租税負担割合の基準を、20%以下(現行25%以下)に引き下げる。
 

 (2)〜(7)=略

 (2)国際取引を行う企業の移転価格税制について見直しを行う。

 (3)〜(4)=略

5 資産課税

(1)住宅関係

(国税)

(1)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置

  イ 10年中に贈与を受けた者の非課税限度額(現行500万円)を1500万円、11年中に贈与を受けた者の限度額を1千万円に引き上げ。

  ロ 適用対象は、贈与を受けた年の合計所得金額が2千万円以下の者に限定する。

  ハ 適用期限を111231日までとする。

(2)住宅取得等資金の贈与にかかる相続時精算課税制度の特例で、特別控除の上乗せ(現行1千万円)を廃止し、年齢要件の適用期限を2年延長する。

(3)〜(4)=略

(2)租税特別措置

(国税)=略

(地方税)

(廃止・縮減等)

(1)〜(6)=略

(7)阪神・淡路大震災による被災住宅用地にかかる固定資産税、都市計画税の課税標準の特例措置廃止。

(8)〜(49)=略

(延長・拡充等)

(1)〜(4)=略

(5)省エネ改修を行った住宅への固定資産税減額措置について、適用期限を3年延長する。

(6)=略

(7)新築住宅への固定資産税減額措置について、適用期限を2年延長する。

(8)〜(11)=略

12)国内路線に就航する航空機への固定資産税の課税標準特例措置を見直した上で、適用期限を2年延長。

13)〜(21)=略

(3)その他=略

6 消費課税

(1)燃料課税

(1)揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税にかかる現行の10年間の暫定税率は廃止する。

(2)当分の間、税率水準を維持する。

(3)ガソリン価格については、一定の価格水準を定めた上で、指標となるガソリン価格がその価格を持続的に上回る場合、本則税率を上回る部分の課税を停止するような法的措置を講じる。

(2)車体課税

(国税)

(1)自動車重量税にかかる現行の10年間の暫定税率は廃止する。

(2)自動車重量税の当分の見直し措置

  イ 電気自動車、プラグインハイブリッド車、一定基準を満たすハイブリッド車やディーゼル車などは本則税率を適用する。

 ロ〜ハ=略

(3)〜(5)=略

(地方税)=略

(3)たばこ税

 (1)税率の引き上げ

   イ 旧3級品以外の製造たばこ千本につき、国税は現行の3552円から5302円、地方税は4372円から6122円に引き上げ。

   ロ 旧3級品の製造たばこ千本につき、国税は現行の1686円から2517円、地方税は2075円から2906円に引き上げ。

 (2)税率改正は10101日から適用する。

 (3)〜(4)=略

(4)租税特別措置等

(国税)

(廃止・縮減等)

  ビールにかかる酒税の税率の特例措置について、軽減割合を15%(現行20%)に引き下げ、適用期限を3年延長する。

(延長・拡充等)

 (1)入国者が輸入するウイスキーなどへの酒税の税率の特例措置適用期限を1年延長する。

 (2)=略

  (3)輸入・国産石油化学製品製造揮発油などへの、石油石炭税の免除・還付措置の適用期限を2年延長する。
 

 (4)輸入・国産農林漁業用A重油への、石油石炭税の免税・還付措置の適用期限を1年延長する。

(地方税)

(廃止・縮減等)

〈自動車税〉

  電気自動車など環境負荷の小さい自動車の税率を軽減し、ディーゼル車など環境への負荷が高い車などの税率を重くする措置は、適用対象を一部見直した上で2年延長する。

(延長・拡充等)=略

(5)その他=略

7 市民公益税制

(国税)

 (1)国税庁が実施する民間非営利団体法人(NPO法人)の認定審査は、2回目以降は原則書面審査。適正性確保のため事後確認をする。

 (2)所得税の寄付金控除の適用下限額を10年以降、5千円から2千円に引き下げる。

8 納税環境整備

(国税)

 (1)租税関連罰則を1061日から強化。

(1)直接税と間接税の脱税犯への懲役刑の上限を5年から10年に引き上げ。罰金刑の上限を、直接税と消費税については500万円から1千万円、間接税などは50万円から100万円に引き上げ。

 (2)秩序犯に対する法定刑の引き上げ。

 (3)税務職員の守秘義務違反の罰金刑を30万円から100万円に引き上げ。

 (4)=略

 (2)略

9 租税特別措置透明化法(仮称)

 (国税)10年に租税特別措置の適用の実態を把握するため、通常国会に法案を提出。

 (地方税)略

10 関税

  (1)09年度末が適用期限の暫定税率(415品目)、特別緊急関税制度などの緊急措置は、ドーハ・ラウンド交渉で対象となっていることから、期限を1年延長する。

 (2)1061日から罰則を強化。

  (1)関税ほ脱罪の懲役刑を5年から10年に引き上げ。罰金刑の上限を500万円から1千万円に引き上げ。

 (2)輸入禁止品輸入罪などの罰則を強化。

 (3)密輸貨物運搬罪の罰則を強化。

11 検討事項

 (国税)

 (1)(2)=略

  (3)郵政民営化に伴うゆうちょ銀行やかんぽ生命保険などにかかる税制措置は、閣議決定した「郵政改革の基本方針」に沿って、ユニバーサルサービスの観点から検討する。
 

 (4)輸入・国産石油化学製品の製造用揮発油にかかる石油石炭税などの免税・還付措置の見直しは、地球温暖化対策の制度が導入された際の整合性や、関連産業の国際競争力に与える効果を検証し検討する。

 (5)市民公益税制にかかわるプロジェクトチームを立ち上げ。

(地方税)

 (1)=略

 (2)事業税について、社会保険診療報酬にかかわる実質的非課税措置や、医療法人に対する軽減税率は1年間議論し結論を出す。

 (3)(4)=略

(国税・地方税共通)

 (1)11年の金融証券税制の改正に向け、公社債の利子や譲渡所得などに対する課税方式を申告分離課税に見直す方向で検討。

 (2)地球温暖化対策のための税は、11年度実施に向け検討。

 第5章 今後の進め方

専門家委員会を立ち上げ、詳細な検討を進める。内閣官房国家戦略室とも連携し、税制改革に向けて工程表を作成する。

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平成20年度税制改正の概要

【骨 子】

1.減価償却制度
 「機械及び装置」の法定耐用年数の大幅な改正がなされました。「法定耐用年数の償却区分の簡素化」
 を目的としたものである。

2.事業承継税制(平成21年度の税制改正で導入される予定)
 「中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律」の施行日(平成20101日)以後に開始した相続等
 に適用される予定です。その骨子は、「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設さ
 れました。

3.上場株式会社等の税率の軽減措置
  上場株式等の「譲渡所得等」および「株式配当」に係る10%(所得税7%・地方税3%)の軽減税
 率が平成
201231日をもって廃止されました。同時に経過措置として、一定の金額以下(譲渡所得等
  500万円・配当所得100万円)のものについては、10%の税率が継続されることになっています。さら
 に、平成
21年分以後の所得税からは、上場株式等の譲渡損失と上場株式の配当所得との間の損益通算が
 可能になります。


4.地方法人特別税および地方法人特別譲与税の創設
  法人事業税の一部を分離して、「地方法人特別税」および「地方法人特別譲与税」が創設されました。


5.国税通則法の見直し
 行政不服審査法の見直しに伴って、国税通則法の見直しが行われ、「異議申し立て」が「再調査の請求」
 に変更になる予定です。
 

【内 容】
1.減価償却制度の改正内容

   わが国の改正前の法定耐用年数については、「減価償却資産の耐用年数に関する省令」できていされ
 ており、別表一から別表八までの8種類の耐用年数表が規定されていました。平成
20年度の税制改正
 に伴い、以下のような区分に変更されました。

別表第一

機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表

別表第二

機械及び装置の耐用年数表

別表第三

無形減価償却資産の耐用年数表

別表第四

生物の耐用年数表

旧別表第五

汚水処理用減価償却資産の耐用年数表

旧別表第六

ばい煙処理用減価償却資産の耐用年数表

旧別表第七

農林業用減価償却資産の耐用年数表(削除)

旧別表第八

開発研究用減価償却資産の耐用年数表(新別表第六)

新別表第五

公害防止用減価償却資産の耐用年数表


平成19年度の税制改正のポイント ( 印をクリックすると該当の項目へジャンプします。

 【法人編
  1.減価償却の税制改正   2.役員給与の課税の取扱い
  3.特殊支配同族会社(実質一人会社)の役員給与の損金算入
  4.中小同族会社に対する留保金課税制度の撤廃

 【個人編
  1.所得税および住民税の改正と社会保険料への影響
  2. 新「住宅ローン控除の特例制度」の創設
  3. 新「バリアフリー改修促進制度」の創設 
  4. 土地・住宅に関する税制の改正措置

【 法人編 】

平成18年度は商法の大改正により、新たに『会社法』が制定され、会社法会計として企業会計にも大きな影響がありました。また、税制についても、いろいろと見直しがされています。
平成19年度においては、新たに以下のような税制の改正が実施されることになりました
1.減価償却の税制改正(解説
国際的なイコールフッティング平等な市場参入条件)を確保し、投資の促進を図るべく、2007年度の税制改正により、大正7年に制度が導入されて以来、40年振りに減価償却制度が抜本的に見直されることになりました。減価償却制度の改正のポイントは以下のとおりです。
(1) 償却限度額及び残存価額の廃止
@ 平成1941日以後に取得をされた減価償却資産に関して、償却限度額(取得価額の95%)及び残存価額が廃止され、法定耐用年数の経過時点に「残存簿価1円(備忘価額という)」まで償却できるようになりました。
A 平成19331日以前に取得された減価償却資産に関しては、その名称が旧定額法、旧定率法等と改められた上、従来の制度が維持されますが、既に償却費の累計額が、取得価額の95%相当額(従前の償却可能限度額まで到達している減価償却資産については、その達した事業年度の翌事業年度(平成1941日以後に開始する事業年度に限られます。)以後において、5年間で、残存簿価1円(備忘価額)まで償却できるようになりました。
B 新たな定率法250%定率法といわれる)が導入され、定額法の償却率原則2.5倍に設定された「定率法の償却率」が適用され、従前の制度に比べて、早い段階で多額の償却が可能となることから、投資の促進が図られることになります。
(2) 法定耐用年数の見直し
技術革新のスピードが早く、実態として使用年数の短い下記の減価償却資産について、法定耐用年数が短縮されました。
・フラットパネルディスプレイ製造装置    10年 → 5年
・フラットパネル用フィルム材料製造設備   10年 → 5年

・半導体用フォトレジスト製造設備       8年 → 5年
(3) 減価償却の方法
@ 定額法
2007年度の税制改正により、法定耐用年数経過時点で残存簿価が1円(備忘価額)になるまで償却することが可能になります。
A 定率法
通常250%定率法(定額法の償却率を2.5倍した償却率で償却)ともいわれる新たな定率法が導入されました。この方法で算出された償却率で計算された金額が、取得価額に保証率を乗じて算出される一定の金額を下回る場合には、償却方法を定率法から定額法に切り替えて、耐用年数経過時点において定額法と同様に残存簿価1円(備忘価額)を残して、取得価額のほぼ全額を償却することが可能となるものです。

2.役員給与の課税の取扱い
(1) 定期同額給与の範囲
・定期同額給与の範囲に、次の2つの給与が追加されました。
@ 職制上の地位の変更(専務が社長に昇格など)により改定された定期給与
A 役員の職務内容の重大な変更その他これに類する止むを得ない事情により改定された定期給与
(2) 事前確定届出給与の提出期限
・従来は、職務開始する日、または会計期間開始の日から3か月(保険会社は4月)を経過する日、のいずれか早い日にしなければならないとされていましたが、改正後においては、次のように改正されました。
@ 役員給与の決議をする株主総会等の日(職務執行開始の日)から、1か月を経過する日
A 会計期間開始の日から4か月(保険会社は5ヶ月)を経過する日
(3) 事前確定届出給与の変更届出期限
・次のような理由で、事前確定届出給与が改定された場合の変更届出が認められました。
@ 役員の職制上の地位の変更・職務内容の重大な変更その他これに類する止むを得ない事情による改定の場合
その改定事由が生じた日から1ヶ月を経過する日
A 経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由による減額改定の場合は、次のいずれか早い日・株主総会等の決議の日から1ヶ月を経過する日
・改定前給与の支給日の前日
(4) 非同族会社の役員給与
・非同族会社の支給する
@
定期給与を受けていない役員に対する給与については届出が不要になりました。
(5) 改正後の役員給与の損金不算入の取扱
・以下の4つのいずれか一つにでも該当しない場合の役員給与は、損金不算入となります
 @ 定期同額給与
 A 定期給与以外の給与(非同族会社の支給する役員給与で、定期給与の支給を受けていない役員給与をいいます。)
 B 事前確定届出給与(事前確定届出給与を所轄税務署長にしているもの)C 非同族会社業務執行役員利益連動給与

3.特殊支配同族会社(実質一人会社)の役員給与の損金算入
(1) 適用除外基準の見直し
・平成18年度改正では、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入の適用除外基準は、基準所得金額が800万円とされていましたが、平成19年度の改正では、中小零細企業への配慮から、適用除外基準の見直しが行われて、基準所得が1,600万円に引き上げられました。(平成19年4月1日以後に開始する事業年度の法人税について適用されます。)
なお、基準所得金額とは、「その法人の課税所得金額に業務主宰役員給与額」を加算した金額をいいます。
(2) 適用除外となるケース
・次の2つのケースの場合に該当します。
@ 基準期間がある特殊支配同族会社の場合
・その特殊支配同族会社の所得等の金額として計算される金額(所得の金額に、所得等の金額の計算上、損金の額に算入されたその給与の額の合計額を加算した金額をいいます。)の直前3年以内に開始する各事業年度における平均額(これを前3年基準所得金額といいます。)が年1,600万円以下である場合、およびその平均額が1,600万円超、3,000万円以下であり、かつ、その平均額に占めるその給与の額の割合が50%以下である場合には、全額損金の額に算入することができます。

a. 前3年基準所得金額 1,600 万円 又は
b. 1,600万円 < 前3年基準所得金額 3,000万円 で、かつ
  前3年業務主宰役員平均給与額 ÷前3年基準所得金額 50
A 基準期間がない特殊支配同族会社の場合

以下の基準に該当する場合は、全額損金の額に算入することができます。
a. 当年度基準所得金額 1,600 万円 又は
b. 1,600
万円 < 当年度基準所得金額 3,000万円 で、かつ
   当期業務主宰役員給与額 ÷当年度基準所得金額 50

4.中小同族会社に対する留保金課税制度の撤廃
(1) 資本金の額又は出資金の額が1億金以下の特定同族会社は、平成19年度の改正により適用対象から除外されました。この改正は平成19年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
(注)平成18年度の法人税改正により、同族会社の定義が3種類に類型化されました。

一般に「同族会社」といわれるものは、通常の「同族会社」、「特定同族会社」と「特殊支配同族会社」があります。
.同族会社とは、株主等(その会社が自己株式等を有する場合のその会社を除く)の上位3グループ(これ  らと特殊の関係にある個人や法人を含む)で、発行済株式総数(自己株式を除く)の50%超を有する会  社をいいます。

2.特定同族会社とは、「1株主グループによって発行済株式の50%超を保有されている会社」を被支配会社」とした上で、   この被支配会社の判定基礎株主の中に被支配会社でない法人がいた場合にその法人を判定から外した場合でも、被支配   会社である会社を「特定同族会社」といいます。

平成18年度の税制改正では、留保金課税の対象となる同族会社の範囲は、この「特定同族会社」に限定されました。

3.特殊支配同族会社とは、
(a)同族会社の業務主宰役員グループが発行済株式の90%以上を保有する。
(b)業務主宰役員及びその役員と特殊の関係のある常務に従事する役員数が常務に従事する役員数の過半数をしめる。この(a)と(b)の両方を満たす同族会社を「特殊支配同族会社」といいます。

【 個人 編 】

平成18年度における国から地方への3兆円規模の税源移譲によって、平成19年分から、所得税および住民税が大きく変わりました。また、平成19年度の税制改正では、新「住宅ローン控除の特例」制度、新「バリアフリー回収促進税制」制度等の導入のほか、土地・住宅税制および金融・証券税制等の見直しが行われます。

1.所得税および住民税の改正と社会保険料への影響
(1) 所得税の税率変更
    国から地方への3兆円規模の税源移譲に伴い、平成19年1月徴収分から所得税の税率構造が改正  されました。

     改正前(4段階)

課税所得 税率
330万円以下 10%
900万円以下 20%
1,800万円以下 30%
1,800万円超 37%

     改正後(6段階)

課税所得 税率 控除額
195万円以下 5%
330万円以下 10% 97,500円
695万円以下 20% 4287,500円
900万円以下 23% 636,000円
1,800万円以下 33% 536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

(2) 個人住民税の変更
個人住民税の税率構造が改正され、道府県民税4%、市町村民税6%に一本化され、合計の個人住民税は一律10%とされました。(平成19年6月徴収分以降に適用)

       改正前

区分 課税所得 標準税率
道府県民税 700万円以下 2%
700万円超 3%
市町村民税 200万円以下 3%
700万円以下 8%
700万円超 10%
合計 個人住民税 200万円以下 5%
700万円以下 10%
700万円超 13%

           改正後

区分 課税所得 標準税率
道府県民税 一律 4%
市町村民税 一律 6%
合計個人住民税 一律 10%

(3) 人的控除額の所得税との較差調整のための減額措置
 個人住民税の課税所得が200万円までで、5%税率適用者であった人にとっては、所得税と個人住民税のそれぞれの人的控除に差があることから、個人住民税の税率が一律10%になることによって、税負担が増加する層が出てきます。そこで、個人住民税の課税所得金額が200万円以下である者と、200万円超である者について、個人住民税所得割額から、次の金額が減額されます。

個人住民税の課税所得金額

減額される金額

@ 200万円以下の者

イとロのいずれか小さい額の5%

イ 人的控除額の差の合計額
ロ 個人住民税の課税所得金額

A 200万円超の者

〔人的控除額の差の合計額−(個人住民税の課税所得金額−200万円)〕の5%
ただし、この額が200万円未満の場合は、2,500円とする。

(4) 定率減税の廃止

(5) 住民税の増額に伴う社会保険料への影響
3兆円の国から地方への税源の移譲に伴い、個人の住民税が増えることで、国民保険料や介護保険料などの社会保険料に増額となって反映されることになります。
@ 国民保険料の仕組み
・国民保険料は「医療分(基礎賦課額)」と介護分(介護納付金賦課額)」から構成されています。この国民保険料は、一律の料金ではなく、被保険者の年齢によっても異なります。基本的な国民保険料の算式は、以下の通りです。

(医 療 分)                       (介 護 分)
保険料=所得割額 + 被保険者均等割額 + 所得割額 + 被保険者均等割額
    (イ)              (ロ)            (ハ)           (ニ)

(イ):被保険者の保険料額算定のための市民税額合計×医療分所得割料率(1.52
  (ロ):被保険者数×医療分均等割料率(額)(42,620円)
  (ハ):40歳以上65歳未満の被保険者の市民税額合計×介護分所得割料率(0.45

(ニ):40歳以上65歳未満の被保険者数×介護分均等割料率(額)(13,520円)
A 国民保険料の算出の事例

年齢

市民税

医療分

介護分

世帯主

58

420,000

あり

あり

55

0

あり

あり

27

120,000

あり

なし

子の妻

25

0

あり

なし

合 計

540,000

@.医療分 @ 所得割額 540,000円  ×    1.52 =  820,800円
           A 被保険者均等割額 4   ×  42,620円=  170,480円

A.介護分 B 所得割額 540,000円  ×  0.45   =  243,000円
           C 被保険者均等割額 2人 × 13,520円 =    27,040円

【国民健康保険料額】=@+A+B+C  =1,261,320円
                                      (月額  126,132円)

A 住民税の増額に伴う国民保険料の増額(上記の説例)
     税源移譲に伴い、住民税のうち、市民税は課税所得の6%であるが、従来に比べて、
     市民税額が仮に5%増えると仮定すると、国民健康保険料は、53,190円と従来に比べて
     4.2%の増額になります。

@.医療分 @ 所得割額 540,000円×1.05%×1.52=  861,840円
            A 被保険者均等割額 4人 ×  42,620円=  170,480円
  A.介護分 B 所得割額 540,000円×1.05%×0.45=  255,150円
           C 被保険者均等割額 2人 × 13,520円=    27,040円
          【国民健康保険料額】=@+A+B+C  =1,314,510円
                                     (月額  131,451円)

. 新「住宅ローン控除の特例制度」の創設
(1) 住宅ローン制度は段階的に規模を縮小させつつ、平成20年入居分を最後に、制度が廃止されることになっています。平成19年1月から国から地方に税源が移譲されることに伴い、所得税と個人住民税の負担割合が変わることから、中低所得層の多くは住宅ローン減税の対象となる所得税が減少する一方において、個人住民税は住宅ローン控除が適用されないことから、個人住民税の負担額が増加することになります。
暫定的な措置として、住宅ローン等を利用して住宅を取得し、平成19年から平成20年の間に居住の用に供した場合には、新たしく創設された「住宅ローン控除の特例制度」を適用されることとなりました。
(2) この特例措置は、住宅ローンを有する場合の所得税の特別控除制度(従来型)との選択適用とされており、控除期間は最長で15年(従来は最長10年)となります。また最高控除額は従来同様に平成19年居住分は200万円、平成20年居住分は160万円です。

. 新「バリアフリー改修促進制度」の創設
高齢者(50歳以上の者)がいる世帯がローンによりバリアフリー改修をする際の減税措置をいいます。毎年末のローン残高(限度が200万円)の2%に相当する額を、5年間にわたり、所得税額から控除することができものであり、その他の増改築費用と併せて、最高で年間12万円(5年間で60万円)の所得税額の控除ができる制度です。
この特例は、従来からの住宅の増改築に伴う住宅ローンの増改築に伴う住宅ローン控除又は住宅ローン控除の特例(税源移譲に伴う特例措置)との選択適用が可能です。

. 土地・住宅に関する税制の改正措置
 高齢者(50歳以上の者)がいる世帯がローンによりバリアフリー改修をする際の減税措置です。毎年末のローン残高(200万円が限度)の2%にあたる額を、5年間にわたり所得税額から差し引くことができ、その他の増築費用とあわせ、最高で年間12万円(5年間で60万円)の所得税額の控除ができる制度です。


        
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